旅ライターの橋詰真紀です。最近の私の趣味と言えば絶景スポット巡り。「絶景は大好物だけど、できれば一緒においしい食事も楽しみたいなぁ~」なんて思っていたら見つけちゃいました。長野県の志賀高原には、日本一高い場所に『雲の上のパン屋さん』があるんです。
しかもそのパンは午前中にはほぼ完売っていう大人気ぶり。『雲の上の絶景、日本一、おいしいパン!』そんなワードが並んだだけで、ワクワクしちゃう。早速行ってきました。
※2018年の記事です
「日本一標高が高い場所にあるパン屋さん」って、どんなところ?
長野県と群馬県の県境にある横手山。この山頂にある「横手山頂ヒュッテ」にあるのが、今回私が目指す「雲の上のパン屋さん」です。
ここは志賀高原でも2番目に高い標高2307mの場所に位置していて、山頂からは北アルプスの山々に遠くには富士山や佐渡島など360度の眺望が楽しめます。また条件が合えば雲海も見られるという、1年を通じて自然が楽しめるまさに絶景スポットなんです。
横手山頂ヒュッテへの行き方は?スカイレーター&リフトで山頂まで楽々移動
「標高2307mの山頂にあるヒュッテに行くって事は、あのきつい山登りをしないと行けないって事?」と思われた方も多いのでは?いえいえ安心して下さい。
横手山山頂ヒュッテまでは、信州中野I.C.から国道292号線で志賀高原の「のぞき」という休憩ポイントに駐車場に車を停めて。
すぐ目の前にあるスカイレーター(歩く歩道)&スカイリフトに乗って約10分。こんなに簡単に行けちゃうんです。
この日は天気が良いって予報だったのに。あれれ?なんだかガスがすごいんですけど…天気が良い日はスカイレーターからも、志賀高原の絶景が楽しめるんですよ。
スカイレーターから今度はリフトに乗り継いで、あっという間に「横手山頂ヒュッテ」に到着。

中に入ると平日の朝イチにも関わらず、焼きたてのパンを求めてたくさんの人々が訪れていました。これでもこの日は少ない方なんですって。なんとも懐かしい感じの店内もいい雰囲気です。
1日2,500個売れる!「雲の上のパン屋さん」その秘密は…
大人気の「横手山頂ヒュッテ」の焼きたてパン。普段は約13~14種類程あるこの焼き立てパンですが、実は多い日はなんと約2,500個も売れるんですって!
「え~この山頂のヒュッテでそんなに!?」って思っちゃいます。
オープンしてすぐの時間帯はまだまだ種類も豊富ですが、午前中には大体完売。土日祝日などは行列ができる程の大人気のパンなのです。
その人気の秘密を「横手山山頂ヒュッテ」の高相則子さんに聞いてみました。
-いつ頃からパン作りを始めたんですか?
-「今から40年程前にパン作りを始めたって聞いています。」
-え?そんなに前から?
-「そうなんです。義理の母がとにかくパンが大好きで、朝昼晩と3食パンでもいいぐらいの人でして。でも母がお嫁に来た時は、ここは山小屋だったので提供できるものと言えば『うどん』ぐらいしかなくて。
『うどんじゃなくて、パンが食べたい!』っていつも思っていたみたいで。
他にも東京や横浜あたりから来るお客さんが、おいしいパンをお土産に持ってきてくれてその味が忘れられなくなってしまって。せっかくなら自分でパン作りをしようって思ったそうみたいなんです。
「日本一高い場所にあるパン屋さん」その人気の秘密は歴史にあり
-その当時は今と違って設備が整っている訳じゃないですよね?しかもこの標高でパン作りって、やっぱり難しかったんじゃないですか?
-「そうなんです。標高も高いですし気温も低いので、当時はパンの発酵をお風呂場で行ったりしていたみたいで。
その後標高2,000m以上でも使えるようなオーブンを探しに、わざわざヨーロッパ中を巡り歩いたり。ようやくドイツでオーブンを見つけて日本に持ち込んだんです。」

-ええ~当時の事を考えたら、わざわざ海外からオーブンを持ち込むなんてすごいことだったんでしょうね。その後は「日本一標高の高いパン屋さん」として、人気となっていったんですね。
ちなみに則子さんはここに嫁いできてから、パン作りを始めたってことですか?
-「そうなんです。始めは母に、あれやってこれやって!とただ言われるがままに。今は母は引退したので私と主人でパン作りをして10年近くになります。」

-でもやっぱり、平地と違ってかなり作るのも大変なんじゃ?
-「そうですね。毎日外気温を確認して…と言いたいところなんですが、とにかく毎日たくさん作らなきゃいけなくて、実はそこまで見ている暇がないんです(笑)
だからなんていうか、パンの感触や発酵具合を感じながら…
そう、毎日パンと向き合っているって感じですね!」
(※PH 12 入る)
なるほど。「日本一高い場所にあるパン屋さん」の人気の秘密は…
先代のお母さんのパンに対する情熱と、それを引き継いだ則子さんが毎日真剣にパンに向き合う思いが伝わっているからって事なんでしょうね。
(写真のイラストは先代のお母さんとお父さん)
雲の上の絶景と一緒に食べたい!おいしいメニューはコレ

「横手山頂ヒュッテ」で私が一番やりたかったこと。
それは…『雲海が見える絶景と一緒に、おいしいパンが食べた~い!』ってこと。ほら景色もごちそうっていうじゃないですか。

というわけで晴れ間が見えてきた所で、私のイチオシのメニューをご紹介します。
絶景と一緒に食べて欲しいメニュー1:「きのこスープ」

まず私が食べて欲しいのはこちら。パン生地をかぶせて焼いた「きのこスープ」。なんともレトロでかわいいカップに、焼き立てふわふわのパン。
ちなみにカップの右下でパンを持っているのは、ここでパン作りを始めたお母さんのイラストです。

ふわふわのもっちもちのパンの下には、きのこスープ。一口食べたら心も体もあったまる~。
・「きのこスープセット(スープ、パン、ドリンク、サラダ付き)」2,000円
・「きのこスープとパン(スープ+パンのセット)」1,300円
その2:「地元の食材をパンたち使ったパンたち」

続いてはこちら。「地元の食材を使ったパンたち」横手山頂ヒュッテのパンには国産の小麦粉と天然水、さらに地元産の食材を使ったパンがいっぱい。
中でも人気は「のざわ菜パン(300円)」お漬物大好きな長野県民にとっては絶対に外せない、あの野沢菜がパンの中に!味は…ぜひ行って食べてみて。

こちらも人気。長野県産のりんごを使った「アップルパン」コロンとまあるい形が、シンプルだけどかわいい。
この他にも「横手山頂ヒュッテ」のパンは種類も豊富でおいしいパンがいっぱいです。
その3:「ボルシチスープとパン」

最後にぜひ食べてもらいたいメニューはコレ。野菜たっぷりのトマトベースにじっくりと煮込んだ「ボルシチスープとパン」

一口食べたら「うまっ!」ってなる事間違いなし。しかも今、焼きあがったばかりの山型パンと合わせて食べたら、そのおいしさはさらに倍増しちゃいます。
絶景を見ながらおいしいパンって、なんだか幸せ♡
遠出しても絶対に行きたい!雲の上のパン屋さん「横手山頂ヒュッテ」

雲の上のパン屋さんがある「横手山頂ヒュッテ」には、東京方面からだと車で約4時間。午前中にはパンが売り切れちゃうので、朝イチで到着するのはかなりの早起きをしないといけないかも?
そんな場合は群馬県の「草津温泉」や長野県の「渋温泉」「湯田中温泉」など周辺で宿泊してから、「横手山頂ヒュッテ」立ち寄るプランがおすすめですよ。
年間を通じて四季折々の自然が楽しめる「横手山頂ヒュッテ」で、おいしいパンと絶景をぜひ召し上がれ~。
■DATA
横手山頂ヒュッテ【よこてさんちょうひゅって】
Web:http://www.yokoteyama.com/
住所: 〒381-0401
長野県下高井郡山ノ内町大字平穏7149-17
TEL:0269-34-2430
fax : 0269-34-2585
営業時間
パン・喫茶/朝、焼き上がり次第営業しています。
レストランお食事/ 9:30~14:30
レストラン閉店/15:30
定休日/不定休 (※ホームページ上記案内あり)
営業時間外にレストラン・パン屋ご利用のお客様は、ヒュッテまでご相談下さい。
※2018年取材当初の内容です。詳細は公式ホームページなどでご確認ください。