富山で思い浮かぶのは…「お薬」。
昔おばあちゃんの家には『富山の置き薬』があって、子供の頃に興味本位に薬箱を勝手に空けてずいぶんと怒られたなぁ。なぁんて事を思い出したりして。もちろん富山の置き薬(配置薬)は今でも健在ですね。
そんな古くから親しまれてきた“富山の薬”の文化を体験することができたり、レトロでかわいいパッケージの薬が購入できる、老舗の薬屋さんが富山市街にあるって聞いて早速行ってみました。
まるでタイムスリップ?!創業昭和11年老舗の「池田屋安兵衛商店」

富山駅からビルが立ち並ぶ市街地を走る路面電車に乗り、最寄り駅「西町」まで約10分。そこから徒歩2分。ひときわ目立つ蔵造りのたたずまいの「池田屋安兵衛商店」。
なんだかここだけタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気。ここは市街地で、最も古い建造物の一つとして数えられるそうです。

店内に入ると天井も高くとっても開放的。こちらはもともと生薬の倉庫だったそうで、立派な梁や吹き抜けの天井は、その当時の歴史を感じることができます。
「池田屋安兵衛商店」は創業昭和11年に和漢薬種問屋として暖簾(のれん)を上げ、江戸時代に誕生した「反魂丹(はんごんたん)」の製造販売を戦後まもなく始めました。現在も症状に合わせた和漢薬の座売りをし、歴史ある富山の薬の文化を伝えています。

特にこの胃腸薬「越中反魂丹(えっちゅうはんごんたん)」の歴史は古く、江戸時代の中期までさかのぼるんですって。
えーそんなに昔から?!
そう当時の富山藩の二代目藩主の前田正甫(まさとし)公は、薬草の研究家で城内には薬草園まであったとのこと。備前の医師から反魂丹の作り方を伝授されて、城下の薬種商に命じて製造を始めたそう。
その後富山では置き薬という独特の販売方式で、日本全国に富山の薬が届けられるようになったのです。薬を使った分だけお支払いするという、今思えば富山の置き薬ってなかなかのマーケティング上手なんですよね。
「薬」なのに…レトロなパッケージが、かわいくてたまらない
今回の私のお目当てはコレ。これが見たかったんです。昭和レトロなパッケージの薬が、ずらーっと棚に並んでいます。これって薬でしょ!
だからその…あんまりフォトジェニックとか、レトロかわいいとかの表現は不思議な気もするんですが。

でもやっぱりかわいいの!薬だけどね。ほらこのだるまのパッケージなんて、ひと目見てかぜ薬なんて全くわかんないですよね。今時はパッケージを見ればどんな症状に効くかわかるのに(笑)

ほら、これも見ただけじゃ効能が、ぜ~んぜん分かんないですよね。真ん中は閻魔様みたいな、右は仙人?神様的な?…『どんだけ神頼み?!』って。
ついツッコミ入れたくなっちゃいます。ほら皆さんもこのレトロな薬のパッケージに、だんだんハマってきたんじゃないですか?

はい、出た!「ケロリン」。その昔銭湯には必ずあったといっても過言ではない“黄色のケロリンの風呂桶”もともとケロリンは頭痛薬なんですよ。
こんな感じで、薬なのですがあまりにパッケージがかわいくて、私ついついテンションが上がってしまいました。
富山ならではの、丸薬製造体験をしてみた。

「池田屋安兵衛商店」では、その昔使われていた機械を使って丸薬製造体験ができます。まずは練り状の薬を同じサイズで切り取って、並べていきます。

上から板を置いてくるくると回しながら形を整えていくと…

つやつやのきれいな丸薬が完成しました。上から手で押すとまだまだ柔らかいので、この後は1日乾燥させて出来上がり。
丸薬を作るのは意外に難しい?!実際に体験してみた

では早速私も体験してみました。微妙に腰が引けているのが気になりますね。この薬を押さえて丸くする板が意外にも重くて、潰れちゃうんじゃないかって、恐る恐るクルクルと転がすと…

はい、出来上がったのがコレ。あれれ?みんなくっついてるし、全然丸くなってな~い!見ている分には簡単そうだったんですが、やってみると意外に難しくて(笑)

最後に体験した方には、懐かしの紙風船をプレゼント。富山ならではの丸薬製造体験は無料でできますので、みなさんもぜひ実際にやってみて。
体の中から健康に!ランチにおすすめ「池田屋安兵衛商店」の健康膳

続いてはごはん。「池田屋安兵衛商店」で人気と言えば、健康膳のランチ(料金2,160円~要予約)。2階にあるレストラン「薬都」では漢方の考えのもと、旬の食材を使った“旬産旬消”の体に優しいランチが頂けます。
この日のメニューには高麗人参を使った鶏団子スープや黒米の山菜おこわ、旬の魚や野菜を使った薬膳料理がずらっと並んでいます。

一番びっくりしたのは、黒米の色。本当に真っ黒。色だけを見るとクセのある味なのかな?なんて思ったのですが。一口食べるとなんだかとっても優しい味、口の中に自然な甘みが広がります。疲れた体に染み渡る感じ。
忙しい毎日を過ごしていると、ついつい食に対して無頓着になっちゃいますよね。こんな風に旅先の健康的なランチで体の中からリセットできるのは、女子的には嬉しい限りですよね。
素材を生かした、優しい味わいの健康膳に大満足でした。
「池田屋安兵衛商店」に行ったら、なんだか元気になれそうな気がした
富山の薬の歴史を感じることができる「池田屋安兵衛商店」。レトロでかわいい薬のパッケージに癒されたり、普段なかなかできない丸薬製造体験を楽しんだり、体に優しい健康膳を食べたりと。
「池田屋安兵衛」に行ってみたら、なんだか私とっても元気になったような気がしました。ぜひ富山に出かけた時には、皆さんも立ち寄ってみてくださいね。
■DATA
池田屋安兵衛商店【いけだややすべえしょうてん】
住所: 〒930-0046 富山県富山市堤町通り1-3-5
TEL :076-425-1871
Web:http://www.hangontan.co.jp/
営業時間 :9:00~18:00(薬都は11:30~14:00)
定休日 無休(但し年末年始を除く) 薬都は水曜休
駐車場 5台(大型2台)
駐車料金: 無料
■おまけPHOTO

池田屋安兵衛商店で、ぜひお土産にしてほしいのがこちら。「反魂飴(はんごんあめ)」

地元の島川あめ店と池田屋安兵衛商店のコラボ商品。生姜・抹茶・酒粕・カモミールキャラメル・ペパーミントの5種類。これお土産にしたらきっと喜ばれますよね。
薬屋さんの飴ですから体にもきっと良さそう!

その昔の富山の薬屋さんの配置薬。歴史を感じますね。ムヒって、その昔からあったのね。

これもちょっとお気に入りのパッケージ。お腹が痛くなった時に、この薬をサッと差し出したらきっと笑顔になるはず(笑)