皆さんは善光寺門前にある「鯉焼き」をご存知ですが?ん?鯉焼き?
そう「たい焼き」ではなく「鯉焼き」です!ここは長野に訪れたらぜひ立ち寄って欲しい、私のイチオシのお店なのです。
それでは早速くわしくご紹介していきましょう。
土日祝日は行列必須!大人気の藤田九衛門商店の鯉焼きが食べたいっ!
JR長野駅から車で約15分。善光寺から徒歩1分の場所にある「藤田九衛門商店」。築80年以上大正時代の古民家を改装した、レトロで趣のあるお店です。
善光寺近くにあって、この店構えとなれば…さぞや老舗のお店かと思いきや、2013年5月5日にオープン。長野の新しい名物になればと、店主の藤田さんが考案した「鯉焼き」は、早朝からお店の前に行列ができるほど大人気!
のれんをくぐり店内に入ると、お茶道具などが並ぶセンスのいい素敵な雰囲気。たい焼きみたいに目の前で焼いて提供するんじゃ?!って勝手にイメージしていたのですが、どうやらそんな感じじゃなさそう。
あれ?鯉焼きはいったいどこに?なんて思っていたらありました。なんてレトロ可愛いパッケージ!あら素敵。
そう実は藤田九衛門商店の鯉焼きは、普通のたい焼きと違い冷めてもおいしく…
いやむしろ冷めた方が、餡に生地が馴染んでおいしく頂けるんです。
なんとも上品な和菓子のようですよね。
今にも泳ぎだしそうな、花豆を餡にしたこだわりの「鯉焼き」がカワイイ!
お目当ての「鯉焼き」を袋から出して並べてみたら、あ~なんかめっちゃカワイイ!
しかも今にも泳ぎだしそうな、鯉焼きのディテールの細かさ。これ凄くないですか?定番の鯉焼は2種類。プレーンな「鯉焼」に、生地に炭を練りこんだ黒い「佐久鯉」(各190円)。餡には地元の契約農家で栽培された花豆を使用しています。
その他にも旬の果物などを餡に入れた「りんご鯉焼き」「和栗鯉焼き」「信州柚子味噌鯉焼き」(各250円)等、約7種類が揃います。
藤田九衛門商店の「鯉焼き」は季節によって餡が変わるため、色々な味を楽しめるところも魅力です。
白花豆こし餡が入った「錦鯉」(250円・要予約)はこちら。こんなにカラフルで可愛い「錦鯉」を手土産にしたら、SNS映えはもちろん、喜ばれることは間違いなしですよね。
ねぇねぇ、藤田九衛門商店。そもそもなんで「鯉焼き」なの?!
それにしても気になるのは「鯉焼き」の話。だってこれまでたい焼きは知っていても、鯉焼きって聞いたことないんだもん。店主の藤田さんに鯉焼きを作っている所を見せて頂きながら、お話を聞いてみました。
藤田さんは、出身は大阪で元々は和食の料理人。大阪や東京の超有名ホテル、オーストラリアシドニーで活躍されました。
その後は長野県に移住し、軽井沢ではご自身が経営する「藤田九衛門商店(現在のお店と同じ名前)」で出張料理人をしていたと言う、すご~い経歴の持ち主なのです。
-そもそもなんで、鯉焼きなんですか?
-長野県、特に東信地方の佐久あたりでは、鯉を昔から良く食べる文化や習慣がある訳でしょ。縁起物だったりお祝いの席とか“ハレ”の日に、鯉はよく食べるっていう。
こんないい文化や習慣があるんだから、せっかくだから鯉をもっと広めていけるものが何かないかなって考えたんですよね。
-それで鯉焼きを?
-そう、和食の料理人やっていたけど、次はお菓子が作りたいなって。じゃあ何がいいかなぁって考えていたのです。
そこで気が付いたっていうか、いつも思っていたんだけど、長野県ってそもそも海がない県なのに、なぜかみんな普通にたい焼き食べているでしょ。
長野県に鯛は一匹も泳いでないのに、たい焼きって何だか不思議だな〜って。
-まぁ、言われてみれば海なし県。たい焼き食べるけど…(苦笑)
-長野県には鯛は泳いでないけど、鯉は泳いでいる。じゃあ「鯉焼き」を作ろうって思ったんです。
なるほど、確かに地元民だと気が付かない、大阪から長野県に移住した藤田さんだからこその“気づき”が今の「鯉焼き」に繋がったという訳ですね。
日本では、藤田九衛門商店が「鯉焼き」発祥の地?!
-それにしても軽井沢から、なぜ急に長野市で鯉焼きを始めたんですか?
-ご縁がありまして。軽井沢で出張料理人をしていたものの、冬場の気温が-20℃にもなる時があるから、まぁ寒い。
大阪帰ろうかと思った矢先に、長野市で古民家再生物件の話しがあるってまわりの人達から聞いて、じゃあ何かやってみるかなって。で、鯉焼きを作ろうってなったの。
-藤田さんが考案したって事は、ここが日本の鯉焼き発祥の地って事になるんですか?
-ちょっと前まではそうだったけど、最近いろんな所で鯉焼きも販売されているみたい。
-え?それってパクリじゃ?
-まあたい焼きもきっとどこかで作って、それが全国に広まったと思うからそれはそれでいいかなぁって。
-なんて太っ腹な(笑)
こだわりが凄すぎる!藤田九衛門商店の「鯉やき」の魅力を探ってみた
まだまだ藤田九衛門商店の「鯉やき」には、魅力がいっぱいです。こだわりが凄すぎる「鯉焼き」についてさらに探ってみました。
1.こだわりの「鯉焼き」は、型の製作に1年がかりだった
藤田九衛門商店「鯉焼き」の型の製作には、なんと1年もかかっているんです。
その理由は、まず鯉のデザインは伝統的な手法で仏像彫刻師に依頼し、その後特注で金型製作をしていくという作業工程にあります。
これまでないものをゼロから作っていく訳ですから、これがなかなか大変だったそう。鯉のディテールがあまり細かすぎると、実際に焼いたときにうまく表現ができないって事があったり。
でも鯉のウロコの部分にリアリティも求めたいし。鯉が泳いでいる感じの躍動感は欲しい…
古民家の改装作業も同時進行しながら、時間をかけてようやく完成したのがこちら。
金型のもとになる、完成系の木彫の鯉。ようやくこれから金型の製作が行われ、1年間かけてやっと「鯉焼き」の型が完成したという訳なのです。
2.藤田九衛門商店の「鯉焼き」は、原材料や作り方へのこだわりが凄すぎる
「鯉焼き」の原材料は長野県内の契約農家さんが生産した花豆を自家製餡し、小麦粉は長野県産小麦のしゅんようを100%使用。
子供たちにも安心で安全なものをというコンセプトのもと、すべて手作りというこだわりよう。もちろん添加物・保存料はゼロ。
鯉焼きを作る時にも必ず頭と尻尾に均等に餡がいきわたるようにと、手作りのこの専用の器具を使って、わざわざ2回にわけて餡を入れる徹底ぶり。
口に入れたとき、頭でも尻尾でも餡が入っていないと悲しくなるからっていう藤田さんの心遣いからです。
生地がはみ出たところは、ひとつひとつ手間はかかりますが、すべて手作業できれいにハサミでカット。
「ええー、ここのカリカリ部分も食べた~い!」って、聞くと朝イチだったらあるかもとの事。
3.「鯉焼き」のパッケージデザインへのこだわりが凄い
そうそうお伝え忘れておりましたが、鯉焼きの名前は実は「垂水(たるみ)」と言います。この垂水と書かれた、レトロで可愛いパッケージにも藤田さんのこだわりが。
-話し少し長くなるけどいい?
-あ、えっと、いい、ですよ…
-これはねえ、仏教の…(中略)
-(中略)…ホントに長かった。
えー簡単にいうと、鯉の滝登り伝説をイメージしたパッケージです。鯉が龍になるっていうアレです。えーと、もっとざっくり、ポケモン世代の皆さんに説明すると…
『コイキング』が進化したら『ギャラドス』になるっていうアレ!です。
とにかく鯉の躍動や色々な思いをパッケージに込めて表したそう。藤田さんに聞いて頂くと、優しく説明してくれますので詳しくはお店で。
長野の新しい名物!藤田九衛門商店の「鯉焼き」なら、手土産にしたら絶対喜ばれる。
長野の新しい名物として、大注目の藤田九衛門商店の「鯉焼き」。こんなに可愛くておいしいお菓子だったら、手土産にしたら絶対喜ばれること間違いなしですよね。
長野の人気観光スポット、善光寺からすぐの場所にあるのでお参りの帰りにぜひ立ち寄ってみてくださいね。
「よっしゃ~。長野でイチオシの手土産ゲットだぜ~!」
■DATA
藤田九衛門商店
【ふじたくえもんしょうてん】
営業時間
通常/6:30~売り切れ次第終了(冬季期間以外)
冬季/7:00~売り切れ次第終了(12,1,2,3月)
定休日:不定休(基本水曜日)
Web:https://www.fujitakuemon.com/access/
住所:長野市東之門町400-2(善光寺徒歩すぐ)